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日本が世界に誇る伝統工芸品はさまざまなものがありますが、ガラス工芸もその1つ。
美しい日本のハンドメイドガラスは、贈り物やお土産として昔から人気ですね。
今回は日本のガラス工芸の魅力や、ガラス工芸の産地別の特徴などをご紹介します。
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|日本産ガラス工芸の歴史
・日本のガラス製品とは?
日本で最も古いガラスとしては縄文時代末期のものが見つかっていますが、これは日本で作られたものなのかは分かっておらず、初めて国産ガラスが作られたのは弥生時代になってから。奈良時代以降は、神事などで使われていましたが、日本の製造技術はあまり高くなく、手の込んだガラスの品々は、いずれも海外からの輸入品でした。
そのうちに国内の製陶技術が飛躍的に進んだため、平安時代には日本の暮らしの中からガラスが消えてしまいます
ガラスが日本の歴史上に再び登場したのは1549年。
当時、キリスト教と共に伝わったガラスは、位の高い人への贈り物として扱われていました。
その後は、ガラスの製造技術も伝わり、江戸時代に入るとガラス職人も現れます。
当時の「和ガラス」と呼ばれる国内産のガラスは、脆いものでしたが高級品として人気がありました。
その後、日本のガラス工芸は長崎から京都、江戸、大阪、薩摩へと広まります。
|日本産ガラス工芸の技術
・吹きガラス
吹きガラスという技法は、あらゆる形を自由に作り出すことができます。細やかでなめらかな形、深みのある色合いが魅力。
江戸時代は、この技法で作られた製品は「びーどろ」と呼ばれていました。
・カットガラス
ガラス表面に精巧な切り込み細工を入れたもの。光を反射し、美しい輝きが特徴のガラスです。
和名は切子。
江戸時代、海外から輸入品のガラスやカットが施されたものは「ぎやまん」と呼ばれていたそう。
|ガラスと切子
・2つの違いとは
切子とは、ガラスを細工して装飾すること、またその技術を使ってつくられた製品のことをさします。切子は、ガラス表面にカットを施し模様や絵を描いているものなのでガラス製品の1種といえます。
有名なものには江戸切子、薩摩切子があります。
|江戸硝子ってなんだろう
・職人が1つ1つ手作業
江戸硝子は18世紀はじめ、鏡や眼鏡などの製品を手掛けていた加賀屋久兵衛と、かんざしや風鈴などを作っていた上総屋留三郎によって広まりました。主に「宙吹き」「型吹き」「押し型」という製造方法が使われています。
まずはどの製法も、珪砂、ソーダ灰、石灰、炭酸カリ、酸化鉛等を混ぜて約1400度の高温で溶解し、江戸硝子の元になる「硝子種」を作ることから始まります。
これは、江戸時代から変わっていない製法だそう。
・宙吹き
吹き竿という道具を使って成型します。硝子種を吹き竿に巻き取り、空気を送りながら、他の道具も使って形を作ります。
型が無いので、成形の自由さはありますが熟練された技術も求められる方法。
・型吹き
木型や金型などを使って形を作ります。宙吹きと同じく、空気を送って成型しますが、こちらは決まった形を作る方法です。
・押し型
上下に分かれた型の一方に硝子種を流し込み、挟んでプレスして成形します。いずれも、成形後の硝子は急激に冷えると破損してしまうため、「徐冷釜」と呼ばれるものに入れて少しずつ冷まします。
職人が手作りしているからこそ生み出される温かみが感じられる江戸硝子。
2002年に東京都伝統工芸品に、2014年には伝統的工芸品に認定されています。
・日本を代表する工芸品「江戸切子」
江戸切子とは、東京スカイツリーのエレベーターの内装にも使われている工芸品です。加賀谷久兵衛が、海外のガラス製品に切子加工したことがきっかけで、江戸時代末期に始まったとされています。
日本らしい繊細な模様の組み合わせによって、さまざまな表現が可能な江戸切子。
昔から使われる伝統的な模様には、切子加工によって生まれる光の反射が魚の鱗のように見えることから「魚子」と呼ばれるもの、「六角籠目」「八角籠目」「四角籠目」など竹籠の網目に似ているものなどがあります。
さらに植物に似ている「菊つなぎ」「麻の葉」、他にも「矢来」や「七宝」と呼ばれる模様など実に多彩。
現代では、伝統文様とモダンな表現を組み合わせたカットも生まれています。
1985年に東京都伝統工芸品として認定され、2002年には国の伝統的工芸品に指定されました。
江戸切子も江戸硝子を使っているので、江戸硝子の1種といえます。
|肥前びーどろ
・日本独自の技術
肥前びーどろの始まりは、佐賀の藩主が設置した薬瓶や酒瓶、ビーカーやフラスコを製造していた精錬方。特徴は、ジャッパン吹きと呼ばれる宙吹き技法で作られていることです。
鉄ではなく、ガラス製の吹き竿で作られる製品は、空気以外に触れることなく作られるので、とてもなめらかなガラスに。
近年は、金箔やピンクなどの色も使われるようになり、従来にはないさまざまなガラス製品が生まれています。
|琉球ガラス
・個性的な色合いは、廃瓶から
明治中期に始まったといわれている琉球ガラス。戦後の沖縄では、駐留米軍が使った色付きの瓶を再利用して琉球ガラスが作られ、それらは、米軍から人気を博していたそうです。
緑や淡い青、茶色などもとの瓶の色合いを感じさせるガラス製品は、少しくすんだ色や気泡があり、琉球ガラスがもつ魅力の1つになっています。
現在も、琉球ガラスは廃瓶を原料としているものが多くあります。
|小樽ガラス
・ガラスの町「小樽」
北海道小樽市は、「ガラスの町」として知られ、石油ランプやガラスの浮き玉を大量に生産していました。
しかし、時代の変化により、それらの需要は減少。
そこで、皿やグラスなどの食器やインテリア用品を作るようになったのです。
浮き玉づくりで培われた技術は、ガラスの柔らかい曲線や穏やかな色合いを生み、ほっと気分を落ち着かせてくれます。
今では、温かみを感じるガラス製品として、たくさんの人に愛されています。
|津軽びいどろ
・浮き玉づくりの技術と、色へのこだわり
浮き玉づくりの名産地の1つ、津軽。美しいだけでなく丈夫さも備えた技術力の高さと、青森の自然を彷彿させる色ガラスが特徴です。
日本らしい繊細な色合いを生み出すために、色ガラスも自社で作り出すというこだわりよう。
鮮やかな色でありながら、どこか落ち着きのある雰囲気のガラス製品を手掛けています。
日常使いできるガラス工芸品として、あらゆる年代の方から人気があります。
|まとめ
・表情豊かなガラス製品
手作業から生まれるガラス製品は、同じデザインとして作られたものでも少しずつ違いが出てきます。ぜひあなただけの1品をみつけてくださいね。
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